2012年衆議院選挙 マニフェスト評価(原発・エネルギー)


※各党の評価結果詳細は上記表をクリックしてください。

 

【 評価の視点 】

 エネルギー問題を考える際には、どのような政策を採用するにしても、その影響が広く大きくかつ長期に及び、また、プラス面とマイナス面がともに存在するため、その全体像がわかりにくい。有権者に対して、政策の直接的効果のみならず、波及的効果、副作用、コスト負担も含めて政策の実現可能性についてわかりやすく説明しているかどうかを確認する。
原発問題に関して、各政党のマニフェストには、例えば時期に関して見ても、いつまでに脱原発、卒原発、あるいは自民党の場合は10年間かけてその後でベストミックスを考える、など様々な違いがある。ただ、原子力リスクは多くの国民が感じており、中長期的には脱原子力依存は避けられない。そこで、それを実現するために、どのような政策体系があるのかを見ていく。その際、単に時期やスローガンを競うのではない、冷静な議論によって脱原子力依存への道筋を示している政策かどうかしっかり吟味する必要がある。例えば、現在の電力の供給体制、あるいは原発推進体制を作ってきた構造を変えていくということにおいて、発電と送電を分離する発送電分離をどうするか、電力会社が色々なコストを積み上げて、それに対して利潤を上乗せできるといった料金体系、いわゆる総括原価方式をどうするか、それから、現在の9電力体制、あるいは10電力体制といわれる地域独占体制から脱し、新しい再生可能エネルギーを導入する企業などが参画できるような電力自由化を如何にして進めるか、など様々な政策的な課題にどう対応していくのかを確認する。
当面の課題としては、現在稼働が停止されている原発を再稼働するべきかどうか、再稼働するとすれば、どういった条件を満たして、どういった手続きを経て再稼働するか、その具体的手順を明らかにしているかどうかが重要である。
個別の問題としては、いわゆる核燃料サイクル、放射性廃棄物や使用済み核燃料をどのように扱って処理していくかという問題などに答えられているかどうかも大きいし、さらに、再生可能エネルギーを拡大することは各党とも主張しているが、それを具体的にどういう形で拡大するか、その際のコスト負担をどうするか、などをきちんと示しているかどうかも評価のポイントになる。

 一方、環境問題とりわけ地球温暖化対策も重要課題である。地球温暖化対策については、COP18(気候変動枠組み条約に関する第18回締約国会議)において、2020年以降の国際的な枠組みについて議論がなされている。日本は、民主党政権が発足した鳩山首相当時に条件付きではあるが、「2020年までに1990年と比べて25%の温室効果ガスを削減する」ということを国際的に約束している。この約束は、実はまだ国際的には取り下げていない。しかし、もともとの「25%削減」という目標は、原子力を大幅に拡大するということを前提とした計画であった。したがって、現在、原子力発電が稼働を停止しているという状況のもと、あるいは、これから徐々に脱原発していくという中で、いかにして国際的に求められている温室効果ガス削減を具体的にしていくかということを、この選挙でも明らかにしていく必要がある。
 そのため、例えば省エネルギーを進め、再生可能エネルギーを拡大し、一方で化石燃料の輸入による負担を吸収しながら、気候変動問題にどのように取り組んでいくかという視点も非常に重要である。

【 マニフェストをどう読むか/松下和夫氏(京都大学大学院地球環境学堂教授)】

 原発問題に関して、各政党が、いつまでに脱原発、卒原発、あるいは自民党の場合は10年間かけてその後でベストミックスを考える、といういろいろな形で、公約なりマニフェストを出しています。ただ、私としては、いつ脱原発するかという時期もさることながら、どういった政策を導入するかを具体的に明らかにして議論していくことが大切であると考えています。

⇒テキストはこちら

【 私も発言する/山地憲治氏(地球環境産業技術研究機構〔RITE〕研究所長)】

 争点にしなければいけないということであれば、エネルギー政策の目標をきちんと掲げること。日本は国内資源が乏しいわけですから、「安定的にエネルギー供給を確保すること」(Energy Security)、それから、「経済的に効率的でなければいけない、あるいは経済成長に寄与する」(Economy)そして、「温暖化対策」(Environment)です。

⇒テキストはこちら

【 <座談会>次の選挙で問われるエネルギー政策とは】

【出演者】
工藤拓毅 氏(日本エネルギー経済研究所研究理事)
藤波匠 氏(日本総合研究所調査部主任研究員)
藤野純一 氏(国立環境研究所主任研究員)

【司会者】
工藤泰志(言論NPO代表)

【座談会】次の選挙で問われるエネルギー政策とは
⇒テキストはこちら

言論NPOについて

日本のメディアや言論のあり方に疑問を感じた多くの有識者が、日本の主要課題に対して建設的な議論や対案を提案できる新しい非営利のメディア、言論の舞台をつくろうと活動を始めた認定NPO法人です。
⇒詳細はこちら

▼参加したい方はこちら


▼言論NPOのツイートはこちら

▼お問い合わせはこちら

候補者アンケート「あなたは政治家として何を実現しますか」結果公表

2012年衆議院選挙 立候補者アンケート

現在、政党政治への不信感が募り、有権者がどの政党を選べばよいのか判断できなくなっています。そうした中で、候補者の皆様がどのような課題認識を持ち、いかなる政策に取り組もうとしているのか。1500人の立候補者全員にアンケートを送付し、789名の方からご回答いただきました。その結果を、各選挙区別、比例別(比例単立候補者)に公開いたします。下記の日本地図から、ご自身の選挙区を選択してください。

⇒実施したアンケートはこちら

  北海道
 
        青森  
      秋田 岩手
      山形 宮城
石川 富山 新潟 福島
長崎 佐賀 福岡   山口 島根 鳥取 兵庫 京都 滋賀 福井 長野 群馬 栃木 茨城  
  熊本 大分   広島 岡山 大阪 奈良 岐阜 山梨 埼玉 千葉
  鹿児島 宮崎           和歌山 三重 愛知 静岡 神奈川 東京
          愛媛 香川
沖縄         高知 徳島



比例区のアンケート結果はこちら

100706_00.jpg北海道ブロック / 東北ブロック / 北関東ブロック
南関東ブロック / 東京ブロック / 北陸信越ブロック
東海ブロック / 近畿ブロック / 中国ブロック
四国ブロック / 九州ブロック