2012年衆議院選挙 マニフェスト評価(民主党・原発・エネルギー)

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■形式要件についての評価(24点/40点)  

 「原発ゼロ社会」と「グリーンエネルギー革命」によって「日本再生を力強く進める」という理念・目標を掲げている。一方、温暖化対策については、政策の方向性が変わらないにもかかわらず、2009年マニフェストと異なり明確な目的を掲げていない。達成時期としては、2030年代に原発稼働ゼロ、2030年時点において温室効果ガス2割削減(1990年比)などがある。全体的には財源についての言及はない。工程・政策手段としては、「原発ゼロ社会」を目指すための40年運転制限制の厳格適用、規制委員会の安全確認を得たもののみ再稼働、原発の新設、増設は行わない、という3原則の提示している。また、「あらゆる政策資源を投入し、再エネ、省エネを飛躍的に拡大する」とした上で、エネルギーの類型別に普及、支援策を提示している。温暖化対策としては、基本法の制定をはかるとしている。

 

 

■実質要件についての評価(22点/30点)

 原発関連、環境問題ともに、「評価の視点」で示した課題の大半に触れているが、なぜその課題が出てきたのか、課題解決策を進めていく上で何が必要になるのかということについては言及していない。
 また、各項目の記載が「新たな原子力政策」、「エネルギー革命」など過度に簡潔ないしは抽象的であって、具体的アクション、具体的成果がイメージできず、実績評価に際して支障が出るのは避けられないものと見られる。目標と政策手段の一方しか示されず、示されていたとしても不完全であり、あるいは目標と手段の関係性を理解するには不十分な場合が多い。例えば、「2030年代に原発稼働ゼロを可能とするよう、あらゆる政策資源を投入」とあるが、政策資源の内容が不明確である。
 発送電分離など電力市場改革についても「検討」など解決の方向性を示しているわけではない。
さらに、核燃料サイクル事業など脱原発と整合性の取れない事業の扱いや着工中の原発の扱いも不明確である。特に、建設から40年経った原発は廃炉にするという原則を掲げているのにもかかわらず、着工中の原発は認めるとなると、それは2050年代まで動き続けることになるので、「2030年代までに原発ゼロ」目標とは矛盾する。
 環境問題については、言及がわずかであるし、地球温暖化対策について「2030年時点において国内でおおむね温室効果ガス2割削減(1990年比)をめざす」とあるが、これは2020年に換算すると、5~9%削減に過ぎず、国際的に要求されるレベルに比べると著しく低レベルであり、主導的環境外交展開には無理がある。

 「2030年代に原発稼働ゼロを可能とする」との大目標については、次の総選挙の際に、達成度を測定することが困難である。だからこそ明確な工程表を提示すべきであったが、それがなかった。マニフェストの情報量が少なく、興味を持つ読者であっても各政策項目における目標と工程、達成手段の関係について具体的に理解しうるだけの記述がほとんどなく、したがって誰がこの政策に責任を持つのかという責任の所在も不明確になっている。

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