2012年衆議院選挙 マニフェスト評価(社会保障)
※各党の評価結果詳細は上記表をクリックしてください。
【 評価の視点 】 |
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社会保障における評価の視点は大きく2つある。1つは、高齢化対応である。具体的には、今後、高齢化が一段と進んでいくなか、現役世代が高齢世代を支える賦課方式を基本とする社会保障財政の持続可能性についてである。 各党は、現状をどのように捉え、将来をどのように見通しているのか(課題認識)。仮に現状のままでは持続可能性が確保できないと判断するのであれば、では、どのような具体的施策を講じるのか(政策手段)。なお、その施策には、負担増、給付減など、国民の耳に痛い内容が含まれているはずである。 とりわけ、年金財政と高齢者医療について明記が求められる。例えば、2004年の年金改正において、段階的に給付水準抑制を図る仕組みであるマクロ経済スライドが導入されたものの、長引くデフレ経済下、今日まで全く機能しておらず、過剰給付が発生している。過剰給付は、積立金の前倒しでの取り崩しとなり、将来世代にツケを負わせることとなっている。積立金は、本来、将来世代の負担抑制の原資である。将来世代にとって、到底「100年安心」などといえる状況にはない。 2つめは、社会保障制度体系の現代化である。社会保障制度は、家族形態、就業形態、および、人口動態などに関し、暗黙のうちにせよ、一定の前提が置かれている。例えば、現行の公的年金は、正社員のサラリーマンの夫と専業主婦のその妻という夫婦世帯を想定している。第3号被保険者という、直接的に保険料負担せずとも基礎年金の受給権が得られる仕組みがその表れである。 しかしながら、今日では、未婚率が上昇し、かつ、既婚者のなかでも共働き世帯が増えており、専業主婦のいる世帯は一般的世帯形態では必ずしもなくなっている。そのため、実際、第3号被保険者の仕組みの見直しを求める声は強い。あるいは、就業形態に関しても、非正規雇用の増加に対し、現行の社会保障制度は対応出来ていない。 こうした社会保障制度を取り巻く諸環境の変化を的確に捉え(課題認識)、必要に応じ、制度の再構築を目指しているか。そして、その再構築プランは、財源の裏づけ、実現に向けた工程の両面からみても妥当性があるか。 また、医療分野の視点としても2つある。1つめは、増大する社会保障費をどう抑え込めるのか、である。消費税増額だけで対応できないのは明らかであり、自己負担の増額、免責範囲の拡大、あるいは混合診療の導入なども議論上では視野に入り始めている。保険制度を維持するために負担面だけでなく、保険対象となる医療自体に関する提起も必要になってきている。 また、医師不足や偏在に対して政治はどう対応すべきかも課題になっている。特に、不足地域は東日本(特に東北や千葉県、埼玉県など)に顕著になっており、政党がこれを理解しているのかも、ここでは評価の対象にする。 |
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【 マニフェストをどう読むか/西沢和彦氏(日本総研上席主任研究員)】 |
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マニフェストを評価するに際して、私は2つの評価軸を考えています。1つは、我が国は超高齢社会に突入していくわけですが、超高齢社会に突入していくにあたって、社会保障制度が持続可能なものとなるのか、ということです。社会保障制度は、よく知られているように現役世代が高齢者を支える賦課方式を基本としていますが、現役世代が減り、高齢者が増えていく中で、本当に社会保障が長期的に、財政的に持続可能なのかといった不安を我々は抱えているわけです。 |
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【 <座談会>次の選挙で問われる社会保障制度改革とは】 |
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【出演者】 【司会者】 |
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