2012年衆議院選挙 マニフェスト評価(日本未来の党・原発・エネルギー)

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■形式要件についての評価(20/40点)  

  「原発のない再生可能エネルギー社会へ」という理念は明確になっている。一方、環境関連の理念・目的についての言及はない。その理念実現のために「原発稼働ゼロから遅くとも10年以内の完全廃炉・完全卒業の道筋を創ります」という目標を掲げている。「卒原発カリキュラム」の骨子には電気料金値上げや電力経営危機への当面の対処として、「電力会社に値上げ相当の差額分を交付国債で給付する」、さらに、「国債発行費用は、送電料に上乗せして回収する」とある。また、「廃炉・廃止に伴う財政支援措置」もあるが、こちらはその手当の方法は示されていない。上記「卒原発カリキュラム」の骨子で工程を定めている。ただし、これはまだ策定途上であることに留意する必要がある。

 

 

■実質要件についての評価(15点/30点)

原発関連に関しては「評価の視点」で示した課題はほぼ網羅しているが、それぞれを実現するために、何が必要なのかという問題意識は乏しい。政策は短文の羅列であって、具体性は乏しく、課題解決力があるのかどうか不明である。特に再生可能エネルギー社会を目指しているのにもかかわらず、その普及への道筋は示されていない。また、原発稼働ゼロに伴う雇用・経済対策についても示されていない。脱原発により「5兆円規模の産業と38万人の雇用が生まれ、地域が活性化」しているドイツの例を挙げているが、それを日本でもどう実現するのかを示していない。
さらに、原発の即時停止を含むすべての核技術からの速やかな撤退と再生可能エネルギーへのシフトを目指しているが、即時原発停止と核技術からの撤退を進めれば、諸外国との関係性やわが国のエネルギー経済社会にドラスティックな変革をもたらすので、ここまで言い切るのであれば、より詳しい政策が必要である。
環境問題については言及がないため、当然課題解決手段も示されていない。

「卒原発」というスローガンは明確に示されているものの、公約だけではその内容は明確には読み取れない。というのも、本稿では同党の掲げている卒原発カリキュラムも加味した評価を行なっているが、これは公約「未来への約束」とは一体にはなっていないからである。そして、その卒原発カリキュラムを定めているにもかかわらず、全体的に政策から成果に至るまでの過程の説明が抜け落ちている印象が強い。特に、上述の交付国債などのように短期的には国庫負担増、中長期的には消費者負担につながる場合には丁寧に根拠を示すべきであるが、総じて見通しが楽観的である。また例えば、六カ所再処理工場の即時廃止を主張しているが、これは地元の理解を得るのは容易ではないにもかかわらず、どう説得していくのかというガバナンス、指導性、責任性の確保の見通しについては判断する材料がない。

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