• 候補者アンケートの結果を公表します

    立候補者1504人を対象に「あなたは政治家として何を実現しますか」と題したアンケートを行い、789人からご回答いただきました。その結果を公表します。 Read More
  • 政権実績評価
    公開中

    2012年民主党政権の実績評価の評価基準について.
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医療分野のマニフェストをどう読むか

上 昌広氏 (東京大学医科学研究所先端医療社会コミュニケーションシステム社会連携研究部門特任教授)


持続可能な医療費負担をどう考える

今回の選挙では、これまでの経験、特に政権交代以降の問題点、あるいは達成した点を踏まえたマニフェストになる必要があると思うのです。

例えば、政権交代後に起こった大きな動き、1つは、中医協という医療費を決める審議会の中から、日本医師会のメンバーが一掃されました。その結果何が起こったかというと、従来開業医に偏重していた医療費が、病院サイドにあてがわれるようになったのですね。その結果、救急車のたらい回しのような問題がずいぶん減りました。また、大きな病院なんかの経営がずいぶん改善しました。大学病院などはほとんど黒字化しているのです。その結果、病院の雇用者、従業員がずいぶん増えたのですね。このことが民主党政権下で失業対策に大きく貢献したと言われています。こういうところを私は評価しなければいけないと思うのです。

もう1つは、医療費を、自民党政権以来久しぶりに増やしました。このことも失業対策に貢献しました。ところが、医療費は、保険組合と国民の自己負担、税金ですね。保険サイドが破綻し始めているのです。国だけ医療費を増やすといっても、その仕組みが永続しないことが分かったのですね。この、持続可能な医療費負担の問題を議論しないといけないです。

さらに、民主・自民・公明各党などが、高額療養費の問題、一部の患者さんは難病に指定されたりして医療費が減免されていますが、多くの患者は、医療費の2割あるいは3割の負担をずっと強いられるのです。難病患者の一部の方は、毎年数万円から数十万円の負担を被っているのです。こういう問題をみんなで改善しようと言いましたが、最終的に合意に達しませんでした。医療費を誰が負担し、誰に配分していくか。こういう議論をしないといけないのです。民主党政権の間にできなかったこと、それは、国だけがお金を払っても、健保組合の問題や、国民の合意を取り付けられない、こういう問題に直面したのです。

 

地域格差のある医師不足

 2つ目は、医療提供者、特に医師の不足です。これは、2008年くらいから議論されました。救急車のたらい回しなどが社会問題化したからなのですね。その結果、当時の厚労大臣、舛添要一さんの時に、医学部定員を毎年400名弱増やすことに決まりました。当時は10年間増やすと言ったのですね。民主党政権下でもこれは継続されました。その結果、医師不足は若干改善されているような感じがします。

ところが、民主党政権下で明らかになったのは、医師不足にはずいぶん国の中で格差があること、特に深刻なのは東京のベッドタウンの関東圏です。埼玉県・千葉県・茨城県。もう1つは、東日本大震災で被害を被った東北地方なのです。この国の医師不足の問題は、世界平均くらいになっている西日本と、著しく少ない東日本という偏在の問題であるということに、ずいぶんコンセンサスが進んできたのですね。では、どうしたらいいか。実は、足りない地域に医学部を作ろうという議論が出始めています。宮城県・新潟県・神奈川県・あるいは千葉県成田市・埼玉県などからそういう声が出ています。今、この問題について、実がマニフェストの中でも多くは答えないと思うのです。なぜなら医師会が反対するから。民主党政権下でこの問題に強く取り組んできたのは、東京や西日本の国会議員だったりするのです。私が知る限り、肝心要の関東や東北地方の議員は、この問題にコメントを出していないのですね。選挙が近づいて、実は東北地方の自民党議員の方々がこの問題に声を上げ始めました。

マニフェストでは、医師の数、特に偏在問題に絡めて、この点を述べてほしいと思います。非常に重要です。なぜ重要かというと、地域の復興というのは人づくりなのです。人づくりとは教育機関なのです。実は、医師数が重要なのは、医療関連産業の専門職は医師が不足しているところでは育たないのですね。例えば看護師、あるいはリハビリの技師さん、こういうコメディカルも完全に西高東低です。東京だって全国平均をはるかに下回るのです。例えば理学療法士さん。福岡県には養成校が15校あります。今話題の福島県はわずか1校なのです。これは国家資格ですからね、30~40歳になれば月給30万円以上確保できるのです。こういう仕事を養成しようにも、東日本では養成できないのです。実習病院の問題、指導者の問題があるのです。

ぜひ、今回の選挙で、医療で問うていただきたいのは、持続可能な負担の問題、政府がやるだけでは無理です。保険組合の問題、国民負担の問題があります。増税しただけでは原理的に改善しません。

2つ目の問題は、お金がついても、ある特定の地域、とくに関東・東北においては提供者が全然足りないのです。地元で養成していくことも踏まえて議論していく必要があります。この点を避けて、さまざまなバラマキ、こういうものにお金をつけます、補助金をつけます、こういうものは本質的な議論ではありません。選挙で問うものというのは、本質的な議論をピックアップして、国民の議論の題材になるような形で提示いただければと思います。

候補者アンケート「あなたは政治家として何を実現しますか」結果公表

2012年衆議院選挙 立候補者アンケート

現在、政党政治への不信感が募り、有権者がどの政党を選べばよいのか判断できなくなっています。そうした中で、候補者の皆様がどのような課題認識を持ち、いかなる政策に取り組もうとしているのか。1500人の立候補者全員にアンケートを送付し、789名の方からご回答いただきました。その結果を、各選挙区別、比例別(比例単立候補者)に公開いたします。下記の日本地図から、ご自身の選挙区を選択してください。

⇒実施したアンケートはこちら

  北海道
 
        青森  
      秋田 岩手
      山形 宮城
石川 富山 新潟 福島
長崎 佐賀 福岡   山口 島根 鳥取 兵庫 京都 滋賀 福井 長野 群馬 栃木 茨城  
  熊本 大分   広島 岡山 大阪 奈良 岐阜 山梨 埼玉 千葉
  鹿児島 宮崎           和歌山 三重 愛知 静岡 神奈川 東京
          愛媛 香川
沖縄         高知 徳島



比例区のアンケート結果はこちら

100706_00.jpg北海道ブロック / 東北ブロック / 北関東ブロック
南関東ブロック / 東京ブロック / 北陸信越ブロック
東海ブロック / 近畿ブロック / 中国ブロック
四国ブロック / 九州ブロック

マニフェスト評価で一番伝えたいメッセージとは

 メディアに取り上げられること自体はうれしいことなのですが、取り上げられ方には納得がいっていません。結果として点数はつくのですが、それよりもこの評価書に書いてある一番伝えたいメッセージは、国民との約束を軸にした政治をどうしても取り戻さなければいけない。そのためにも、自分たちでマニフェスト、公約を手にとって、それを自分たちで評価するための手法を、きちんと伝えているわけです。

⇒つづきはこちら

【第4回】 マニフェスト評価を通じて見えてきたこと
【第3回】 マニフェストをいかに読み解くか
【第2回】 今回の選挙を「有権者主体の政治」の実現に向けたスタートに

【第1回】 有権者から政治にマニフェスト逆提案を

民主党政権3年の実績評価

  2009年衆院選
マニフェスト
言論NPO実績評価 理由・備考

原則1

官僚丸投げの政治から、政権党が責任を持つ政治家主導の政治へ 実現できず 「国会改革関連法案」を撤回。
原則2 政府と与党を使い分ける二元体制から、内閣の下の政策決定に一元化へ 実現できず 党の政策調査会の復活、事前承認制の導入など、政府一元化を断念。
原則3 各省の縦割りの省益から、官邸主導の国益へ 実現できず 「政治主導確立法案」を取り下げ。国家ビジョンを策定する仕組みを作れず。
原則4 タテ型の利権社会から、ヨコ型の絆(きずな)の社会へ 道筋見えず 「新しい公共」を提案。しかし、強い市民社会への道筋は示されず。認定NPO法人の要件緩和もほとんど効果見えず。
原則5 中央集権から、地域主権へ 道筋見えず 地域主権の全体像を描けず。「出先機関廃止法案」は先送り。

その他、詳細な項目については、こちらをご覧ください

2012年民主党政権実績評価の評価基準については、こちらからご覧ください

主要5政党の分野別マニフェスト評価

121210_05
社会保障 経済政策 農業 原発・エネルギー 財政再建 市民社会 震災復興 教育 外交・安全保障 一票の格差などの政治改革 地方分権

※配点は、形式要件に40点、実質要件に60点となっています。
※マニフェスト評価の詳細は、上記分野をクリックしてください。

⇒2012年マニフェスト評価 総論はこちらからご覧ください

⇒2012年マニフェスト評価基準はこちらからご覧ください

日本の政党は国民に本気で向かい合っているか

 
 政党
公約集から見る
"本気度"
公約集の中味から見る
"本気度"


公約自体の"本気度"
※数値目標、達成時期、財源を明記した公約の割合※1
約束度
※2
ガバナンス度 ※3
絞り込み度 ※4
課題への誠実度※5
正直度
※6
 民主党
11 12.3%
 自民党
11
11.0%
 公明党
22.6%
 未来の党
10.8%
 維新の会
10.4%
 日本共産党
20.9%
 みんなの党
9.0%
 社会民主党
7.9%
 新党大地
15.8%
10
 国民新党
11.9%
11
 新党改革
2.9%
12
 新党日本
0.0%


※1.公約自体の本気度(%):各政党のマニフェストの公約のうち、数値目標または達成時期、財源のうち一つでも明記されている公約の数をマニフェストの全ての公約の数で除したもの。
※2.約束度:マニフェストの表紙に、「マニフェスト」あるいは「国民との約束」と書かれているものは3点、そうではなく単なる「約束」と書かれているものは1点、約束に関する表現がないものは0点。
※3.ガバナンス度:マニフェストに党首1人の顔が掲載されていれば3点、そうでなければ0点。
※4.絞り込み度:重点項目について、0~5個が2点、6~10個が1点、11個以上が0点。
※5.課題への誠実度:言論NPOの有識者アンケートから抽出した6つの課題(財政再建、経済の成長戦略、社会保障制度改革、エネルギー政策、外交・安全保障、民主主義の制度改革)に関してマニフェストで積極的に取り組む姿勢がどの程度見られるかによって0~2点を配点。
※6.正直度:消費税引き上げに関する記載があれば2点、消費税の記載がなく、それに相当する負担を公約として記載していれば1点、負担に関する記載がない場合は0点。

マニフェストをどう読むか

経済政策について 医療政策について 社会保障政策について
小峰隆夫氏
(法政大学大学院政策創造研究科教授)
上 昌広氏
(東京大学医科学研究所特任教授)
西沢和彦氏
(日本総研上席主任研究員)

市民社会政策について エネルギー・環境政策について 農業政策について
田中弥生氏
(大学評価・学位授与機構准教授、日本NPO学会会長)
松下和夫氏
(京都大学大学院地球環境学堂教授)
生源寺眞一氏
(名古屋大学大学院生命農学研究科教授)