• 候補者アンケートの結果を公表します

    立候補者1504人を対象に「あなたは政治家として何を実現しますか」と題したアンケートを行い、789人からご回答いただきました。その結果を公表します。 Read More
  • 政権実績評価
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    2012年民主党政権の実績評価の評価基準について.
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立候補者アンケート「あなたは政治家として何を実現しますか」分析結果報告

言論NPOは、16日投開票の衆議院選に向けて、日本が抱える主要課題に関して候補者がどう考えているのかの緊急アンケートを行い、14日その結果を公表した。

アンケートでは原発、経済成長、社会保障、財政再建、外交、一票の格差など言論NPOが日本の主要課題だと考える6つの分野について行ったもので、候補者の4割は「このままなら日本の財政再建は不可能」と考え、7割が「日本の社会保障制度も破綻しかねない」と考えていることが分かった。またTPPの交渉参加では、民主党が59.2%、公明党も25.0%の候補者が参加に賛成しているが、自民党の候補者では8.1%に過ぎなかった。

全国で13党などの1504人が立候補し、480の議席を争っているが、今回のアンケートには民主党、自民党、公明党、日本未来の党、日本維新の会、共産党、社民党、みんなの党、国民新党、新党大地、新党日本、幸福実現党の12党の789人が回答した。

⇒選挙区別にアンケート結果を見る

この調査ではまず政治家になった場合、何を実現したいかを聞いている。

 

あなたが今回の選挙に当選し、政治家になった際、特に力を尽くして実現したい政策は何ですか。【2つまで選択、N=781】

あなたが今回の選挙に当選し、政治家になった際、特に力を尽くして実現したい政策は何ですか
 

それによると「脱原発」が43.0%と最も多く、「経済成長」が39.7%、「持続的な社会保障制度の構築」が26.1%で続いている。

自民党候補で最も多いのは「経済成長」の73.4%で「財政再建」は14.8%だった。民主党候補は「社会保障制度の構築」が58.3%と最も多いが、「脱原発」は16.5%である。「脱原発」を候補者が最も多く選んだ党は社民党で、共産党、日本未来の党、新党大地、みんなの党の順で続く。

次に所属政党のマニフェストについて「十分納得して責任を持って取り組む」としたのは全体の83.3%だが、民主党と日本維新の会の候補では62%程度である。ただ、どの党の候補も「納得できない公約も責任を持って取り組む」か、「党内で変更するようにつとめる」と回答している。

財政再建に関しては44.0%が、「先の(通常国会で成立した)一体改革に加え追加の計画がないと財政再建は不可能」と回答したのに対し、「一体改革で財政再建が可能になった」と答える候補者はわずかに4.0%だった。また42.1%が「財政破綻は避けられない」と答えている。

 

あなたは、現状のままで日本の財政再建が可能だと思いますか。【単数回答、N=741】

あなたは、現状のままで日本の財政再建が可能だと思いますか
 

自民党候補は92.2%が「追加の計画がないと再建は不可能」と答えており、共産党候補の88.0%が「破綻は避けられない」と回答している。

これに関連して、政府の財政再建の目標である2015年のプライマリーバランスの赤字半減、2020年の黒字化に関して、「達成できる」と回答する候補者は12.9%に過ぎず、49.9%が「達成ができないので、(目標の)時期は変更すべき」と答えている。

 

あなたは現状でその目標を達成できると思いますか。【単数回答、N=716】

 

「達成できる」と考えている候補者が最も多いのは民主党の51.0%で、公明党の46.2%が続く。自民党の候補者で「達成できる」と見ているのは19.2%に過ぎず、38.3%は「達成できないので(目標の)時期は変更すべき」、21.7%は「より厳しめの目標にすべき」と回答している。

「財政再建で最も決め手となる政策」では、「経済成長」が46.9%で、「その他」の37.5%、「無駄の見直し(社会保障除く)」が13.2%で続いた。「(社会保障の)給付の抑制」は1.3%、「増税」は0.9%と、有権者に負担を迫る項目を選ぶ候補者はごく少ない。ただ、この「その他」では経済成長や増税、支出カットなど全ての政策を投入すべき、とのコメントも多い。

消費税の増税に関しては、「引き上げ自体を見直すべき」が57.8%と最も多く、「経済状態を判断して延期も検討」が21.2%である。「景気後退が深刻化しない限り引き上げるべき」は19.0%だった。

 

消費税は、2014年4月に8%、2015年10月に10%にそれぞれ引き上げられることが決まっています。あなたは、この消費税の引き上げをどのように判断していますか。【単数回答、N=770】

 

政党別では「引き上げるべき」が最も多いのは民主党の67.3%で、自民党が45.0%で続いている。民自公3党の9割を越える候補が、経済状況が大きく落ち込めば「延期」、そうでなければ「実施」と回答しているが、日本未来、共産、みんなの党、社民は「見直しが」9割を越えている。

次に高齢化の中で日本の社会保障制度が今後も持続可能か、の質問では69.3%の候補者が、「このままでは破綻しかねない」と回答している。「すでに破綻している」も12.1%あり、「持続可能」と見ている候補者は16.1%しかいない。

 

あなたは、これから急激に進む高齢化の中で、現在の社会保障制度は持続可能だと思いますか。【単数回答、N=766】

 

「すでに破綻している」が最も多いのは、日本維新の会の候補者の52.4%で、「このまままでは破綻する」も45.1%ある。これに対して、公明党は60.0%の候補者が「持続可能」と答え対照的になっている、自民党の候補者は、「持続可能」が24.4%だが、「このまままでは破綻する」が66.1%ある。

社会保障制度の改革で最優先で取り組む課題で、最も多いのは「年金制度の抜本的な改正」の76.3%で、「医師数の不足や偏在の解消」の39.7%、「医療保険制度の改革」が28.2%で続いている。政党別では、この年金制度の抜本改革をほとんどの党の候補が選んでいるのに対し、公明党は0%、自民党は47.2%だった。

TPPへの交渉参加では、「参加すべき」と回答したのは28.6%、「参加すべきではない」が62.2%である。政党のマニフェストでは、TPPの交渉参加を公約で宣言しているのはみんなの党しかなく、ほとんどの党が反対か、曖昧で分かりにくい表現になっている。

 

TPPへの交渉参加に対するあなたの態度を明らかにしていただけますか。【単数回答、N=767】

 

しかし、候補者では民主党が59.2%、公明党も25.0%、日本維新の会も90.1%、みんなの党は97.7%が交渉参加に賛成している。これに対して自民党の候補者で交渉参加に賛成したのは8.1%しかない。

これに関連して、日本の10年後の水田農業をどのようにしていくのかについて、「兼業や小規模経営も含む全ての農家の継続」を目指す候補が77.5%、大半が「大規模農家になる農業」を目指すのが17.5%と、規模拡大や産業としての農業を明確に目指す候補は少ない。

大規模農業を目指す候補が多いのは、日本維新の会の50.6%、みんなの党の45.2%で、民主党と自民党はそれぞれ17.3%、17.2%で並んでいる。

原子力発電に関しては、62.0%の候補が「将来的なゼロ」を目指しており、「徐々に依存を減らす」が17.4%、「今後も原発に依存すべき」が3.6%となっている。

 

あなたは将来の原発依存についてどのように考えていますか。【単数回答、N=742】

 

将来的に「原発ゼロ」を目指している候補者は、みんなの党と新党大地の全候補者と、日本未来の党が95.7%、公明党が92.9%、社民党が91.3%、そして民主党が81.4%と大部分となっている。日本維新の会も「将来的にゼロ」を目指すが63.8%と最も多いが、「徐々に依存度を減らす」も33.8%ある。 自民党は逆に「ゼロ」は27.5%だが、「徐々に依存度を減らす」が58.3%と最も多い。 

今後の原発政策に関しては、(1)核燃料サイクルの継続は77.7%の候補者が反対しており、(2)原発の海外輸出も76.7%の候補者が反対している。また電力制度改革では、(3)電力の発送電分離を進める、に賛成する候補者は89.2%、(4)総括原価方式を改める、に賛成の候補者も91.8%、(5)電力の地域独占体制を改めて電力自由化を進めるも88.3%の候補者が賛成している。

国と地方の関係や外交問題、そして政党助成金などの問題も聞いている。

将来的に地方は道州と基礎自治体の二層制を目指すのが39.1%と最も多く、広域連合、都道府県、基礎自治体、あるいは道州、都道府県、基礎自治体の三層制を目指す候補者はそれぞれ16.3%と7.7%で続いている。
その他は27.4%で多いが、現行制度のまま、道州制に反対などが多い。
政党の中では二層制を目指す候補者が多いのは、公明党が85.7%、日本維新が75.6%、みんなの党が92.9%である。自民党は49.1%、民主党も42.7%と半数近くがこの二層制を選んでいるが、ほかの三層制も含めて意見がばらけている。

尖閣諸島の問題で日本政府がとるべき対応では、「主権は主張するが、軍事紛争にならないように交渉する」、が69.2%で最も多い。「日本の主権を断固主張する」は、16.5%程度である。ただ、自民党と日本維新の候補者には「日本の主権を断固主張する」がそれぞれ32.8%、25.9%であり、特に維新の会の候補者の53.1%が「国際司法裁判所への提訴も含めた決着」を選んでいる。

 

あなたは、尖閣問題で今後、日本政府がとるべき対応についてどう考えていますか。【単数回答、N=769】

 

最後に政党に対する政党助成金と一票の格差に対する取り組みを聞いている。

この政党助成金は必要か、必要でないかは意見が真っ二つに分かれている。「必要だと思う」候補者は、「どちらかといえば必要」も加えて52.2%、「不要」と考える候補者は、「どちらかといえば不要」も加えて47.1%である。

ただ、「不要」が多いのは、共産党の候補者の回答が寄与しているためで、基本的にほかの党の候補者は必要と考えている。

一票の格差の問題では、「選挙後にその是正が図られた後に、もう一度選挙をやり直すべきか」を聞いている。これに対して「やり直す必要がある」と答えた候補者は42.7%、「やり直す必要はない」が53.6%である。

 

今回の選挙は違憲状態となる可能性があります。選挙後に一票の格差が是正されますが、その後すぐに選挙をやり直す必要があると思いますか。【単数回答、N=715】

 

これを政党別にみると、「やり直すべき」という回答が多いのは、日本未来の党が48.9%、共産党の76.7%、社民党の68.2%などで、民主党は21.3%、日本維新の会が23.8%、みんなの党は26.2%だが、自民党は6.0%、公明党は0%だった。 【アンケート結果概要】

 

候補者アンケート「あなたは政治家として何を実現しますか」結果公表

2012年衆議院選挙 立候補者アンケート

現在、政党政治への不信感が募り、有権者がどの政党を選べばよいのか判断できなくなっています。そうした中で、候補者の皆様がどのような課題認識を持ち、いかなる政策に取り組もうとしているのか。1500人の立候補者全員にアンケートを送付し、789名の方からご回答いただきました。その結果を、各選挙区別、比例別(比例単立候補者)に公開いたします。下記の日本地図から、ご自身の選挙区を選択してください。

⇒実施したアンケートはこちら

  北海道
 
        青森  
      秋田 岩手
      山形 宮城
石川 富山 新潟 福島
長崎 佐賀 福岡   山口 島根 鳥取 兵庫 京都 滋賀 福井 長野 群馬 栃木 茨城  
  熊本 大分   広島 岡山 大阪 奈良 岐阜 山梨 埼玉 千葉
  鹿児島 宮崎           和歌山 三重 愛知 静岡 神奈川 東京
          愛媛 香川
沖縄         高知 徳島



比例区のアンケート結果はこちら

100706_00.jpg北海道ブロック / 東北ブロック / 北関東ブロック
南関東ブロック / 東京ブロック / 北陸信越ブロック
東海ブロック / 近畿ブロック / 中国ブロック
四国ブロック / 九州ブロック

マニフェスト評価で一番伝えたいメッセージとは

 メディアに取り上げられること自体はうれしいことなのですが、取り上げられ方には納得がいっていません。結果として点数はつくのですが、それよりもこの評価書に書いてある一番伝えたいメッセージは、国民との約束を軸にした政治をどうしても取り戻さなければいけない。そのためにも、自分たちでマニフェスト、公約を手にとって、それを自分たちで評価するための手法を、きちんと伝えているわけです。

⇒つづきはこちら

【第4回】 マニフェスト評価を通じて見えてきたこと
【第3回】 マニフェストをいかに読み解くか
【第2回】 今回の選挙を「有権者主体の政治」の実現に向けたスタートに

【第1回】 有権者から政治にマニフェスト逆提案を

民主党政権3年の実績評価

  2009年衆院選
マニフェスト
言論NPO実績評価 理由・備考

原則1

官僚丸投げの政治から、政権党が責任を持つ政治家主導の政治へ 実現できず 「国会改革関連法案」を撤回。
原則2 政府と与党を使い分ける二元体制から、内閣の下の政策決定に一元化へ 実現できず 党の政策調査会の復活、事前承認制の導入など、政府一元化を断念。
原則3 各省の縦割りの省益から、官邸主導の国益へ 実現できず 「政治主導確立法案」を取り下げ。国家ビジョンを策定する仕組みを作れず。
原則4 タテ型の利権社会から、ヨコ型の絆(きずな)の社会へ 道筋見えず 「新しい公共」を提案。しかし、強い市民社会への道筋は示されず。認定NPO法人の要件緩和もほとんど効果見えず。
原則5 中央集権から、地域主権へ 道筋見えず 地域主権の全体像を描けず。「出先機関廃止法案」は先送り。

その他、詳細な項目については、こちらをご覧ください

2012年民主党政権実績評価の評価基準については、こちらからご覧ください

主要5政党の分野別マニフェスト評価

121210_05
社会保障 経済政策 農業 原発・エネルギー 財政再建 市民社会 震災復興 教育 外交・安全保障 一票の格差などの政治改革 地方分権

※配点は、形式要件に40点、実質要件に60点となっています。
※マニフェスト評価の詳細は、上記分野をクリックしてください。

⇒2012年マニフェスト評価 総論はこちらからご覧ください

⇒2012年マニフェスト評価基準はこちらからご覧ください

日本の政党は国民に本気で向かい合っているか

 
 政党
公約集から見る
"本気度"
公約集の中味から見る
"本気度"


公約自体の"本気度"
※数値目標、達成時期、財源を明記した公約の割合※1
約束度
※2
ガバナンス度 ※3
絞り込み度 ※4
課題への誠実度※5
正直度
※6
 民主党
11 12.3%
 自民党
11
11.0%
 公明党
22.6%
 未来の党
10.8%
 維新の会
10.4%
 日本共産党
20.9%
 みんなの党
9.0%
 社会民主党
7.9%
 新党大地
15.8%
10
 国民新党
11.9%
11
 新党改革
2.9%
12
 新党日本
0.0%


※1.公約自体の本気度(%):各政党のマニフェストの公約のうち、数値目標または達成時期、財源のうち一つでも明記されている公約の数をマニフェストの全ての公約の数で除したもの。
※2.約束度:マニフェストの表紙に、「マニフェスト」あるいは「国民との約束」と書かれているものは3点、そうではなく単なる「約束」と書かれているものは1点、約束に関する表現がないものは0点。
※3.ガバナンス度:マニフェストに党首1人の顔が掲載されていれば3点、そうでなければ0点。
※4.絞り込み度:重点項目について、0~5個が2点、6~10個が1点、11個以上が0点。
※5.課題への誠実度:言論NPOの有識者アンケートから抽出した6つの課題(財政再建、経済の成長戦略、社会保障制度改革、エネルギー政策、外交・安全保障、民主主義の制度改革)に関してマニフェストで積極的に取り組む姿勢がどの程度見られるかによって0~2点を配点。
※6.正直度:消費税引き上げに関する記載があれば2点、消費税の記載がなく、それに相当する負担を公約として記載していれば1点、負担に関する記載がない場合は0点。

マニフェストをどう読むか

経済政策について 医療政策について 社会保障政策について
小峰隆夫氏
(法政大学大学院政策創造研究科教授)
上 昌広氏
(東京大学医科学研究所特任教授)
西沢和彦氏
(日本総研上席主任研究員)

市民社会政策について エネルギー・環境政策について 農業政策について
田中弥生氏
(大学評価・学位授与機構准教授、日本NPO学会会長)
松下和夫氏
(京都大学大学院地球環境学堂教授)
生源寺眞一氏
(名古屋大学大学院生命農学研究科教授)