民主党のマニフェストでは、「税財政の規律を守る」と題して、①「租特透明化法」に基づき、役割を終えた租税特別措置などの廃止、②2013年税制改正において所得税・相続税を改正する、③男女共同参画社会に資する中立的な税制の実現に取り組む、④2015年度にプライマリー・バランスの赤字を2010年度比半減、2020年度まで に黒字化するとの財政健全化目標維持の4点を掲げている。
政権として掲げてきたマクロの財政健全化目標をしっかりと設定しているが、個別歳出分野ごとの目標は、「国家公務員総人件費は2割削減目標を堅持する」とある以外は、存在しない。ただ、財政健全化目標の達成時期は明示されているが、公務員総人件費については時期の明示がなく、財政再建と連動しているとは読み取れない。
税制改革について、消費税率引き上げ時期の明示、および「2013年度税制改革において所得税・相続税の税制改革を行う」と、時期の明示がある点は一定の評価ができる。財源の裏付けについては、「2016年度末までに土地や株式など5000億円以上の国有資産を売却する」との明記がある以外は、ほとんど具体的記述がない。
財政健全化を実現するための工程については具体的な記述がないため、現行の3年間の歳出総額を定める「財政運営戦略」に則るものと解釈されるが、明確に示されているわけではない。
政策手段については、①所得・相続税の改正、②消費税率の引き上げ、③自動車取得税・自動車重量税の抜本的見直しなどの税制改革を明記している。また、歳出削減については、社会保障の給付の重点化を掲げており、その具体例として、「適切に生活保護の認定を行う」「電子レセプト点検の強化や後発医薬品使用の促進」を挙げている。
また「身を切る改革」として、「次の4年間もムダづかいの根絶に取り組む」としており、具体的には「事業仕訳を発展させた「行政事業レビュー」を法制化し、毎年度政府の全府省で実施する」「予算編成プロセスの公開化を進める」、「入札制度の不断の改革」、「特別会計、独立行政法人改革をすぐに実現する」、「2016年度末までに土地や株式など5000億円以上の国有資産を売却する」「行政改革実行法を制定し、国家公務員の天下りを厳格に監視する」「国家公務員総人件費は2割削減目標を堅持する」など複数の具体策を示しており、一定の評価ができる。 |