※各党の評価結果詳細は上記表をクリックしてください。
【 評価の視点 】
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東日本大震災の復旧・復興における評価の視点は、第1に、遅れている被災地の復旧事業を早期に実現する政策になっているのか、第2に、地域ごとの被害の大きさに配慮した政策になっているか、第3に、東北地方を復興するための道筋を描けているのか、の3つである。
1年半以上を過ぎた現在でも、まだ被災地の復旧は道半ばであり、がれき処理の遅れ、難航する高台移転の合意形成など遅々として進んでいない。こうした遅れの大きな要因となったのが、現行の復興庁の体制である。その問題の一つは、復興庁に強い権限が与えられず、各府省の単なる調整機関となってしまった点である。その結果、自治体が事業の承認を受ける際に、復興庁の支所と復興局、復興庁だけでなく、関係省庁から同意を得なければならない状況であり、事業の承認に時間がかかっている。また、言論NPOが実施した被災自治体の市長へのヒアリングには、事業を申請した時に、既存の法律上何か問題が生じた時にその法律に縛られるのではなく、政府に柔軟に対応して欲しいとの声がある。こうした被災地の状況を踏まえ、どのように復旧事業を迅速に進めるのか、そのための政策を各政党は国民に明らかにしなければならない。
次に、沿岸部で津波の被害が大きかった自治体は、復旧・復興事業に遅れが生じているという問題がある。会計検査委員の報告によると、被災自治体の復旧・復興事業の2011年度市町村実行率が5.6%から99.1%であり、地域によって実行率にばらつきが生じている。津波により甚大な被害を受けた陸前高田市、塩釜市の事業執行率がそれぞれ、5.6%、8.1%となっていることから、被害の大きな自治体の復旧・復興事業の遅れが目立っていることが分かる。また、壊滅的な被害を受けた石巻市は、土木部門職員1人当たりの公共事業費に対する交付金の割合が平時の約16倍となっており、専門人材の確保も急務となっている。こうした地域間の被害の大きさに配慮し、財源と人材、資材の確保などの対策を講じなければならない。
最後に、復興に関しては、東北地方の構造的な課題への対処と「減災」の2つの観点から取り組む必要がある。震災前の東北地方は少子高齢化、人口流出、産業の停滞という構造的な問題を抱えていた。こうした構造的な問題に対して解決策を提示できなければ真の復興とは言えない。また、過去の地震と津波による被害を考慮して、防波堤・防潮堤の整備等のハード対策と防災訓練、防災教育等のソフト対策を組み合わせた「減災」という考えが提起された。こうした「減災」の考えを基に、いかなる防災対策を講じているか、それによって本当に災害による被害を減らすことが出来るのかを評価の視点とした。 |