2012年衆議院選挙 マニフェスト評価(日本未来の党・外交・安全保障)

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■形式要件についての評価(5点/40点)  

  未来の党のマニフェストでは、「主権国家としての権利を堅持へ」とし、「品格ある外交を展開」「日本は、自立と共生の理念の下で、自ら主張し信頼を築く外交を展開しなければなら」ないと述べている。それぞれが姿勢を抽象的に示しているだけで、どのような日本を目指すのか、国際社会の中でどのような役割を果たしたいのかという理念は全く不明である。
 外交で取り組む7つの課題を打ち出しているが、 明確な目標設定のある政策は、「TPP交渉入り反対」「食料自給率50%」「日本版NSC創設」「ハーグ条約早期批准」であり、全体の半分である。達成時期、財源、目標実現のための工程や具体的な政策手段が明記されている政策はない。

 

 

■実質要件についての評価(3点/30点)

 形式要件についての評価の部分で述べたが、外交・安全保障分野について、未来の党のマニフェストには理念の記載がない。したがって、その下に列挙されている7つの個別政策がどのような理念から導き出されたのか、マニフェストから読み取ることはできない。
 独立国家としての責任に基づいた日米関係の構築を主張しているが、何を示しているのか、そのための実現すべき、政策は何かが体系的に説明されていない。TPPの交渉入りの反対の論拠に使われているだけならば、自由貿易の推進との整合性を説明すべきで、仮に交渉参加しても、独立国家としての責任で参加するかは判断できるはずである。また自由貿易の推進と食料自給率50%の達成をどのように両立するのかについても説明がない。
 そもそも、台頭する中国にどのように向き合っていくのかという、今後の日本外交を左右する本質的な課題を認識している形跡がなく、したがってそこから抽出された個別の課題解決策もバラバラで一貫性のないものとなっている。
 その他、「東アジア外交の重視」「国連平和維持活動への参加の推進」「安定的なエネルギー確保」等にしても、どれも妥当かつ当然のことであり、かつこれまでも政府が進めてきたことであるが、なぜ、何のためにこれらの政策を推進したいのかも読み取れない。
 未来の党自体、衆議院の解散が決定してから急遽発足した政党であり、党員の間の見解の不一致等がメディアで報道されている。マニフェスト自体にも目標達成のための具体的な手段の記述はなく、目標自体が曖昧なため達成が測定不能な政策も多い。したがって、マニフェストに記載された政策を、責任を持って実行するための体制やガバナンスが備わっていると評価することは難しい。

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