2012年衆議院選挙 マニフェスト評価(民主党・一票の格差などの政治改革)

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■形式要件についての評価(14点/40点)  

 政と官の共同による国造りのための政治主導の確立、「省庁の縦割りを廃止、効率的な資源配分、予算編成を進める」ための官邸の司令塔機能の強化、「緊急事態に迅速勝つ適切に対応できる危機管理体制を平素から整える」ための内閣機能の強化を掲げており、それぞれの政策の目的は書かれている。しかし、どのように統治機構の舵取りを行うのか、上位の理念やビジョンは見えない。また、目標設定、達成時期、財源の裏付けなどはほとんどが不明で、かつ、目的実現のための工程や政策手段の具体化はない。
 また、 「政治への信頼回復は、身を切る改革から」、 「政治改革・国会改革を断行し、国民の信頼を取り戻す」との理念や目的は掲げている。しかし、様々な政策を列挙しているものの、明確な目標があるものは、「議員定数の削減」、「歳費の減額」など僅かであり、時期・方法についての説明も全く無い。
 また、今回の選挙は違憲状態で行われる選挙であり、次期国会では一票の格差、定数是正のため抜本的な改革が必要とされている。しかし、マニフェストでは、そこについて「衆参選挙制度について…抜本改革を行う」とあるだけで、達成時期や工程、政策手段が明記されているわけでもなく、評価は低くなる。
 今回のマニフェストでは「ムダの根絶」、「特別会計・独法の改革」、「天下りの厳格化と公務員の総人権費削減」を大項目として、それぞれに政策が列挙されている。しかし、その課題になぜ取り組み無のか、理念やビジョンはほとんど明記されていない。また、目標設定が掲げられているのは半分にも満たず、達成時期が明記されているのは2割しかない。目標実現に向けての工程や政策手段が書かれているのも半分に満たない。

 

 

■実質要件についての評価(6点/30点)

 政権与党の経験を踏まえ、政と官が共同して国民のための国づくりに邁進するという、新しい政治主導に舵を切った点については評価できる。しかし、国家戦略室の強化、かつ、危機管理体制整備のため、内閣機能の強化を挙げているが、国家戦略室がどのような役割を担い、内閣機能と同棲み分けするのかの説明もなされぬまま、2009年と同じような項目がマニフェストに掲げられるなど、実現に向けた具体的な道筋や考え方は何も説明されておらず、低い評価にならざるを得ない。
2009年の衆院選マニフェストで実現できなかった項目を列挙しているのがほとんどであり、2009年に政権に就いてからの3年間で新たな課題を抽出し、方向性の修正などをおこなった形跡はほとんどみられない。また、解散直前に0増5減の一票の格差を是正する法案が成立し、同時に次期国会で定数是正をすることなった。しかし、衆参選挙制度の抜本改革、衆院75議席減、参院40議席減との数値目標があるだけで、その具体的な方法や道筋、期日などについては言及されておらず、政策の実行に向けた体制や指導性は何ら発揮されていない。また、企業・団体献金の禁止は挙げられているが、具体的な提案はなされておらず、評価は低くならざるを得ない。また、政党内の対立が表面化し意見をまとめることができず、政府と与党の間で意見が食い違うなどの事態が生じたにもかかわらず、それらについての説明や改善点はなく、政策を実現するための政府・政党の協力体制などのガバナンスにについて何も触れられていない。

 政治への信頼回復のために、政治がまずは身を切る改革を行う、ということで、行政府の改革を行うという課題の抽出事態は妥当だと考える。しかし、ムダの削減のために、事業仕分けを発展させた行政事業レビューを法制化したり、特別会計の削減、独立行政法人の統廃合、幹部公務員の内閣への一元化など、2009年の約束からの焼き増しでしかなく、政権に就いてからの3年間で新たな課題を抽出し、2009年から実現できなかった説明も何もない。また、行政刷新会議による事業仕分けによる仕分けが、ほとんど機能しなかったにもかからず、それにかわる実行体制についての説明なども言及されておらず、政策の実現に向けた体制整備などのリライトはできておらず、評価は低くなる。

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