2012年衆議院選挙 マニフェスト評価(民主党・市民社会)

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■形式要件についての評価(18点/40点)  

 民主党は、2009年に政権を掌握した当初、最も重要なビジョンとして掲げたのが「新しい公共」を掲げ、市民公益税制PTを立ち上げ、寄付税制に税額控除制度を導入するなどの改革を行い、社会的企業育成、NPOの基盤強化など、年間6000億円以上の予算を投じ、施行してきた。その後、首相の交代とともに閣僚の関心の低下がみられたものの従来にない大きな予算を投じられてきた。最近では、細野議員が国会の予算委員会で、民主政権の大きな成果のひとつが「新しい公共」であると主張している。その意味で、「新しい公共」は民主党政権政策の柱のひとつであったことは間違いない。
 民主党マニフェスト2012では、理念として、「生活者」「納税者」「消費者」をよりどころにし、将来世代の声を聞き、共生社会をつくり、誰にでも「居場所」と「出番」のある社会など、自立した市民のそれぞれが役割をもって互いに助け合う社会を掲げている。また、官から民へ、地域主権とともに「新しい公共」は、民主党が進める改革の一環であると述べている。
 民主党はこの理念のもとに5つの重点政策を掲げている。その中で、「新しい公共」や共生社会に最も関連する政策は「社会保障とともに生きる社会」であり、この政策目標として相互に助け合う「共生社会」である。しかしながら、その内容に着目すると、子供、障害者、女性、若年者など弱者へのケアやサービスが記されているのみで、その担い手としての市民やNPOなど民間の役割について何ら言及されていない。したがって、政策目標はややスローガン的に掲げられているものの、個別政策(あるいは施策)については民間や市民の役割について言及されていない。
 共生社会や新しい公共に関連して、達成時期、工程、政策実行手段について言及されたものはなかった。
 また、これ以外の政策においても、市民のボランティアなどの社会参加、NPOなどの非営利組織の基盤強化にかかる言及はなかった。

 

 

■実質要件についての評価(3点/30点)

 理念においては、共生社会や「新しい公共」が、大きな論点として掲げられているにもかかわらず、重点政策においては希薄になる。第1の政策である「社会保障とともに生きる社会」は、共生社会と掲げられているものの、その下位にある各施策の内容は弱者への機会やサービスの供給側の論理に留まる。つまり、理念には掲げられたものの、政策には反映されているとは言い難い。したがって、体系性は描けていないというよりも、理念の下位になるものが不在のために体系をなしていない。また、共生社会や「新しい公共」にかかる課題解決策および実行体制を見出すことはできない。

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