2012年衆議院選挙 マニフェスト評価(公明党・外交・安全保障)

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■形式要件についての評価(12点/40点)  

 理念として「行動する国際平和主義」を掲げ、「核軍縮の推進」「人間の安全保障」で世界に貢献する平和外交を推進する、としている。また、「国際的な経済連携で外交を再構築する、とし、アジア太平洋域内のEPAやFTAに主導的に取り組み、FTAAPの構築を目指すと、している。
ただTPPには慎重な姿勢を打ち出し、最終判断は避けている。
 その上で4つの外交の柱を提起し、13の外交の課題や目標を打ち出している。ただ、目標実現に向けて具体的に工程や手段を明記したものはなく、その大部分はその目標を「提案する」、「主張する」、「うながす」、というもの。数値目標を提起してその実行や成果に責任を持つものは、ODA予算の20%を人間の安全保障分野への優先配分、5%をNGOに換言するというODA予算がらみだけである。期限が明示されたのは2015年の核廃絶サミットの広島、長崎開催のみだが、これは「提案する」に過ぎない。

 

 

■実質要件についての評価(13点/30点)

 行動する国際平和主義という理念の方向や、そのための核ゼロの世界へ、核軍縮を推進や人間の安全保障分野で世界に貢献、は理念の方向性や理念と取り組む課題に整合性があり、評価できる。ただし、核ゼロの世界に向けた取り組みは全てが「提案します」といくつかのアクションをおこすことを公約しているだけであり、どのように実現していくのかという道筋は見いだせない。
また、政権公約でありながら、「政府に主張します」と書くなど政権を獲ってその課題を実現する、という姿勢に欠ける。
 人間の安全保障は、などではODA予算の配分は書いているが、ピーク時からすでに半分以下になったODA予算の規模そのものには言及がない。
 「外交の立て直し」では、日米外交の再構築とアジア外交の積極展開を掲げているが、いずれも二国間関係の強化の域を出ていない。アジア太平洋地域の国々との関係の中で台頭する中国にどう対応するのかという視点や政策はない。
 領土を巡る問題では、毅然たる戦略的な外交を主張し、領土問題では特に項を割いているが、尖閣では従来の政府の主張を繰り返し、さらに島の実効支配を高めることなどに言及しているのみで、どこに戦略があるのか、説明できていない。
 「TPP問題」についても、経済連携を外交の柱にしているわるいには、慎重な姿勢を打ち出しているが、しかし、交渉参加に反対も明示できない、中途半端な対応になっている。いずれにしても公明党のマニフェストは理念の体系は分かり易いが、現在の日本が直面する課題を解決する手段は提示していない。

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