次の選挙で問われる財政政策とは/第2部:【どうなっている日本の財政状況】

財政健全化の鍵は?

工藤:次の議論に進みましょう。財政再建の状況はどのようになっているか、をここで話さなければいけないと思います。アンケートでは、「日本の財政再建は可能だと思いますか」と聞いてみました。私は、財政再建はかなり厳しいと思っているのですが、有識者の方は、「現状の取り組みでは難しいが、まだ間に合うと思う」というのが74.7%、「財政再建は厳しい」というのが18.4%、「現状の取り組みで可能である」というのが、0%でした。これはなぜなのかと言う理由をみると、「まだ間に合うと思わなければやってられない」という意見もあったのですが......日本の財政、今はどんな状況で、どういうことを考えなければいけないのでしょうか。

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次の選挙で問われる財政政策とは/第1部:【社会保障と税の一体改革】

工藤泰志工藤:こんにちは。言論NPO代表の工藤泰志です。さて、言論NPOは9月に行った有識者アンケートで今度、選挙があったら、何を争点にすべきかをやってみました。その結果、社会保障と財政再建、エネルギー、民主主義、安全保障と外交問題、経済成長、この6つの問題を多くの人が今度の選挙の争点にすべきだ、ということになりました。私たちはこの6つを徹底的に議論して、今度の選挙前に政治や政党に質問を出そうという動きを始めようとしています。この前、社会保障をやりましたので2回目の今日は、財政問題について議論します。ゲストを紹介します。まず、言論NPOがやっているマニフェストの評価、特に財政問題の分野をやっていただいている慶應義塾大学経済学部教授の土居丈朗さん、同じく財政経済問題を手伝っていただいている大和総研調査提言企画室長の鈴木準さん、そして、最後に明治大学公共政策大学院教授の田中秀明さんです。昔、僕がお会いした時は財務省の方だったのですが、最近、財務省をお辞めになったばかりです。

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次の選挙で問われる財政政策とは

 10月25日の言論スタジオでは、土居丈朗氏(慶應義塾大学経済学部教授)、鈴木準氏(大和総研調査提言企画室長)、田中秀明氏(明治大学公共政策大学院教授)の3氏をゲストにお迎えし、「次の選挙で問われる財政政策とは」をテーマに議論を行いました。

次の選挙で問われる財政政策とは
 まず、代表の工藤は社会保障と税の一体改革における消費税の引き上げに触れ、「これによって財政再建の道筋が描かれたのか」と問題提起しました。これに対し3氏とも、超党派の合意による消費税の引き上げは評価できるが、財政再建の道筋は全くたっていないという見解を示しました。その中で土居氏は「社会保障の効率化・重点化が伴わなければ、財政再建の道筋は見えない」と述べ、また鈴木氏も10年後、20年後の「超高齢化社会でも社会保障制度と財政制度を維持出来るような改革が見えていない」と指摘しました。さらに、田中氏は増税の財源の一部を公共事業などに利用する議論について言及し、「増税に際して公共投資を増やすことになれば、増税の効果は数年で剥げ落ちる」と指摘しました。

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日本の「民主主義」をどう立て直すのか

山中燁子氏(ケンブリッジ大学客員教授)

工藤:言論NPOの工藤です。16日に衆議院が解散されることが決まり、今日(2012年11月14日)は日本の政局が大きく動き始めた日となりました。そこで、ケンブリッジ大学客員教授で、僕たちの日本の民主主義のための議論にいろいろな形で参加いただいている山中あき子先生と日本の政治についてお話ができないかということで、急遽言論スタジオを開設することにしました。

 さて解散ということですが、民主主義というのは有権者が主役ですから、この選挙をきちんと考えなければいけない。山中さんはこの日本の政治が大きく変わろうとしている状況をどう思われていますか。

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