• 候補者アンケートの結果を公表します

    立候補者1504人を対象に「あなたは政治家として何を実現しますか」と題したアンケートを行い、789人からご回答いただきました。その結果を公表します。 Read More
  • 政権実績評価
    公開中

    2012年民主党政権の実績評価の評価基準について.
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社会保障分野のマニフェストをどう読むか

西沢和彦氏(日本総研上席主任研究員)

 

評価に際して重要視する2つの視点

マニフェストを評価するに際して、私は2つの評価軸を考えています。1つは、我が国は超高齢社会に突入していくわけですが、超高齢社会に突入していくにあたって、社会保障制度が持続可能なものとなるのか、ということです。社会保障制度は、よく知られているように現役世代が高齢者を支える賦課方式を基本としていますが、現役世代が減り、高齢者が増えていく中で、本当に社会保障が長期的に、財政的に持続可能なのかといった不安を我々は抱えているわけです。

そこで、各政党のマニフェストがこうした課題を認識して、それに対する方向性を的確に示しているのか、といったことを重視しています。そうすると、マニフェストには、制度を長持ちさせるために、負担の引き上げなど、少し厳しいことが書かれるはずなのです。ただ、負担にも限界がありますから、一方で給付を少し下げる。こういった一見聞こえの良くないことが盛り込まれているはずです。そうした点を見ていきます。

もう1つの評価軸としては、我々の就業形態や家族形態の変化に合わせて、どのように制度を見直していくのか、という視点があるかどうかです。近年になりまして、例えば、働く女性の比率もだんだん増え、今後も増えていくものと思われます。あるいは労働市場を見ましても、正規雇用から非正規雇用へのシフトが進んでおり、これは望むと望まざるとにかかわらず、大きな揺り戻しはないというふうに考えています。こうした変化に合わせて制度を再構築しようとしているかということを見ています。

 

「マクロ経済スライド」の発動により、年金の過剰給付の解決を

そうした2つの評価軸から各マニフェストを見ますと、特に1つ目の評価軸についての認識が甘いと言わざるを得ないと思います。年金を例にお話をしますと、年金制度は2004年に大きな改正が行われました。その柱が「マクロ経済スライド」という聞き慣れない、あるいはテクニカルなネーミングの仕組みです。

簡単に言えば、少し時間をかけて年金給付を削っていき、そうすることで、年金財政を長期的に持続可能なものにしましょうという仕組みです。この狙いはまさに妥当なものであったわけですが、2004年に年金改正が行われて以降、この「マクロ経済スライド」は全く機能しておらず、過剰な年金給付が続いています。

もうかれこれ10年になろうとしているわけですけども、この過剰な年金給付は、足元の積立金を前倒しで取り崩すことになっており、結局、将来世代のツケとなっているわけです。こういう状況がずっと放置されています。当時の与党のマニフェストを見ても、そこに対する問題認識は見られませんし、今の与党のマニフェストを見てもそこに対する認識は見て取れません。しばしば、将来世代に対する責任を果たすと言った言葉がリーダーから聞こえてきますけれども、マクロ経済スライドの発動など具体的施策とセットでなければ、説得力を持ちません。

 

課題解決のための方法と財源を明らかに

 2つ目の課題に対して、これは各政党のマニフェストを見ても、ちらほらとあるいは若干、改革の方向性を見て取ることができます。例えば、子育てです。保育所の整備などに関しては、社会保障の中でも以前よりも注目が集まってきたかと思います。以前であれば、社会保障と言えば、年金・医療・介護だけでしたが、ここにきて、子育てが非常に重要な分野として注目されるようになってきました。

ただ、こういった就業形態や家族形態の変化などについて、制度をどう構築しようとしているのか、といったことに関し、マニフェストを見渡して思うことは、スローガンやキャッチフレーズは盛り込まれているものの、実現に向けた手段が見えていないということです。

例えば、日本はいま年間120万人が死亡しています。今後、高齢者人口が増えていく中で、年間死亡者数は170万人なっていきます。そうしたときに本当に安心して、どこで死ねるのかといったことが、非常に重要な問題になってくるわけです。各党のマニフェストを見ますと、適切な医療を受けられるようにする、適切な介護を受けられるようにする、どこに住んでいても受けられるようにするのだと書いてあります。

しかし、限られた財源の中で、あるいは医療や介護サービス提供者が民間事業者である中で、政府はどのようにそれを実現するのか――そのための手法、あるいはパスが見えてきません。確かに、きれいなことが書かれている部分が非常に多いのですが、我々有権者としては、ではいったいそれをどう実現するのか、そのときの財源をどこから持ってくるのか、そういうことを厳しく問うていく必要があると思っています。以上です

候補者アンケート「あなたは政治家として何を実現しますか」結果公表

2012年衆議院選挙 立候補者アンケート

現在、政党政治への不信感が募り、有権者がどの政党を選べばよいのか判断できなくなっています。そうした中で、候補者の皆様がどのような課題認識を持ち、いかなる政策に取り組もうとしているのか。1500人の立候補者全員にアンケートを送付し、789名の方からご回答いただきました。その結果を、各選挙区別、比例別(比例単立候補者)に公開いたします。下記の日本地図から、ご自身の選挙区を選択してください。

⇒実施したアンケートはこちら

  北海道
 
        青森  
      秋田 岩手
      山形 宮城
石川 富山 新潟 福島
長崎 佐賀 福岡   山口 島根 鳥取 兵庫 京都 滋賀 福井 長野 群馬 栃木 茨城  
  熊本 大分   広島 岡山 大阪 奈良 岐阜 山梨 埼玉 千葉
  鹿児島 宮崎           和歌山 三重 愛知 静岡 神奈川 東京
          愛媛 香川
沖縄         高知 徳島



比例区のアンケート結果はこちら

100706_00.jpg北海道ブロック / 東北ブロック / 北関東ブロック
南関東ブロック / 東京ブロック / 北陸信越ブロック
東海ブロック / 近畿ブロック / 中国ブロック
四国ブロック / 九州ブロック

マニフェスト評価で一番伝えたいメッセージとは

 メディアに取り上げられること自体はうれしいことなのですが、取り上げられ方には納得がいっていません。結果として点数はつくのですが、それよりもこの評価書に書いてある一番伝えたいメッセージは、国民との約束を軸にした政治をどうしても取り戻さなければいけない。そのためにも、自分たちでマニフェスト、公約を手にとって、それを自分たちで評価するための手法を、きちんと伝えているわけです。

⇒つづきはこちら

【第4回】 マニフェスト評価を通じて見えてきたこと
【第3回】 マニフェストをいかに読み解くか
【第2回】 今回の選挙を「有権者主体の政治」の実現に向けたスタートに

【第1回】 有権者から政治にマニフェスト逆提案を

民主党政権3年の実績評価

  2009年衆院選
マニフェスト
言論NPO実績評価 理由・備考

原則1

官僚丸投げの政治から、政権党が責任を持つ政治家主導の政治へ 実現できず 「国会改革関連法案」を撤回。
原則2 政府と与党を使い分ける二元体制から、内閣の下の政策決定に一元化へ 実現できず 党の政策調査会の復活、事前承認制の導入など、政府一元化を断念。
原則3 各省の縦割りの省益から、官邸主導の国益へ 実現できず 「政治主導確立法案」を取り下げ。国家ビジョンを策定する仕組みを作れず。
原則4 タテ型の利権社会から、ヨコ型の絆(きずな)の社会へ 道筋見えず 「新しい公共」を提案。しかし、強い市民社会への道筋は示されず。認定NPO法人の要件緩和もほとんど効果見えず。
原則5 中央集権から、地域主権へ 道筋見えず 地域主権の全体像を描けず。「出先機関廃止法案」は先送り。

その他、詳細な項目については、こちらをご覧ください

2012年民主党政権実績評価の評価基準については、こちらからご覧ください

主要5政党の分野別マニフェスト評価

121210_05
社会保障 経済政策 農業 原発・エネルギー 財政再建 市民社会 震災復興 教育 外交・安全保障 一票の格差などの政治改革 地方分権

※配点は、形式要件に40点、実質要件に60点となっています。
※マニフェスト評価の詳細は、上記分野をクリックしてください。

⇒2012年マニフェスト評価 総論はこちらからご覧ください

⇒2012年マニフェスト評価基準はこちらからご覧ください

日本の政党は国民に本気で向かい合っているか

 
 政党
公約集から見る
"本気度"
公約集の中味から見る
"本気度"


公約自体の"本気度"
※数値目標、達成時期、財源を明記した公約の割合※1
約束度
※2
ガバナンス度 ※3
絞り込み度 ※4
課題への誠実度※5
正直度
※6
 民主党
11 12.3%
 自民党
11
11.0%
 公明党
22.6%
 未来の党
10.8%
 維新の会
10.4%
 日本共産党
20.9%
 みんなの党
9.0%
 社会民主党
7.9%
 新党大地
15.8%
10
 国民新党
11.9%
11
 新党改革
2.9%
12
 新党日本
0.0%


※1.公約自体の本気度(%):各政党のマニフェストの公約のうち、数値目標または達成時期、財源のうち一つでも明記されている公約の数をマニフェストの全ての公約の数で除したもの。
※2.約束度:マニフェストの表紙に、「マニフェスト」あるいは「国民との約束」と書かれているものは3点、そうではなく単なる「約束」と書かれているものは1点、約束に関する表現がないものは0点。
※3.ガバナンス度:マニフェストに党首1人の顔が掲載されていれば3点、そうでなければ0点。
※4.絞り込み度:重点項目について、0~5個が2点、6~10個が1点、11個以上が0点。
※5.課題への誠実度:言論NPOの有識者アンケートから抽出した6つの課題(財政再建、経済の成長戦略、社会保障制度改革、エネルギー政策、外交・安全保障、民主主義の制度改革)に関してマニフェストで積極的に取り組む姿勢がどの程度見られるかによって0~2点を配点。
※6.正直度:消費税引き上げに関する記載があれば2点、消費税の記載がなく、それに相当する負担を公約として記載していれば1点、負担に関する記載がない場合は0点。

マニフェストをどう読むか

経済政策について 医療政策について 社会保障政策について
小峰隆夫氏
(法政大学大学院政策創造研究科教授)
上 昌広氏
(東京大学医科学研究所特任教授)
西沢和彦氏
(日本総研上席主任研究員)

市民社会政策について エネルギー・環境政策について 農業政策について
田中弥生氏
(大学評価・学位授与機構准教授、日本NPO学会会長)
松下和夫氏
(京都大学大学院地球環境学堂教授)
生源寺眞一氏
(名古屋大学大学院生命農学研究科教授)